「分散投資」だけがリスク回避の方法ではない。

先物取引なんて怖い!やるなんて言語道断だ。

「先物取引」と聞いて、濡れ手で粟を稼ぐような虚業だと思っていませんか?

たしかに投機的な取引手法としても使えます。

ただ一方で、一概にそうとは言いきれない。ということと、

自分がやることは無くても、日経新聞や経済ニュースには原油先物とか日経先物とか、「先物」に関する記事は毎日紙面に載るので正しく理解しておいた方が損はないよ。

という話を今日はしましょう。

その前に、先物取引について。

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先物取引とは

「価格や数値が変動する各種有価証券や商品、指数などについて未来の取引において価格や数量を予め取り決め、保証する取引」の事です。

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普通、金融商品の取引といえば、その瞬間の値段で決済されますが、先物は将来の取引価格を決めるという点で少し異なります。

先物取引でどんなものが取引できるのかの詳細は今回は割愛します。
また実際のやり方なども今回は割愛します。

今回は先物取引についてよくある誤解について解説してみます。

なぜこんな取引方法があるのか?

農作物などでよく使われるのですが、農作物はその年の天候によって大きく取れ高が変わります。

したがって消費者側からしたら、価格が安定しないのは死活問題です。また、生産者側からしても価格変動が高すぎると、生産行為に集中できません。

こういったリスクを回避する手段として使われだしました。

つまり先物取引は決してバーチャルな金儲けの手段だけではなく、

本来は現実の世界の経済に起こり得るリスク回避の手段です。

②分散投資では対応できないリスクを回避できる。

別の見方をしましょう!

本来、リスク回避をするのであれば分散投資と言われておりました。

しかし、分散投資でも機能する場合とそうでない場合があります。

分散投資が機能するのは

「あるものがダメになったらもう一方が生き残る」

というパターンの時だけです。

(こういうパターンを統計学では「相関性がない。」と言います。)

逆に言えば、相関性がある場合は機能しないという事です。

農作物の場合はどうかというと、

こちらの地域だけ悪天候で不作だったけど、あっちは豊作でした。

という事は滅多に起きないですよね?

また、先のリーマンショックでは

それまで通説だった「株が下がる時は債券が上がる。だから両方に分散しておけばリスクは回避できる。」が機能せず、両方とも下がるという現象が起きました。

世界がグローバル化し、ある一国のニュースが瞬く間に全世界に渡るようになったせいです。昔はそれなりにタイムラグがあったので、機能したはずですが。

世界同時株安でも然り。

先物取引で値段を決める取引など、デリバティブ取引(金融派生商品)を上手く使いこなせば、リスク回避、あるいは軽減できます。

(リスクを回避するという事はそこにコストがかかるので、予想以上に好成績にはなりにくいということではありあます。その代わりに壊滅的な打撃は回避できるという事です。)

投機性も上がるので直接専用の証券口座を開けて取引をやろうとは思わないですが、現物取引の分散では回避できないリスクもあることを知っています。

だから、一部海外のファンド経由で間接的にではありますが、ポートフォリオの中に入れております。

余談ですが、インデックス礼賛の風潮が国内投信業界にはありますが
あえてデリバティブ取引を使うことで暴落時からの立ち直りも早いという事は知っておきたい事です。(海外ヘッジファンドはこういう手法を上手く使う場合があります。)

個人的にIDeCoが嫌だというのが好況時は上がるけど、暴落時のダメージを軽減するファンドがない。という事です。

積立時期はドルコスト平均法を使う以上、それでも構わないですが、取り崩す時期に暴落が来たら分散投資では限界があるという事を周知すべきだと思います。

この辺りは別の機会に。

いかがでしょうか?

先物=投機、博打

という見方は間違ってはいないですが偏った見方だという事が伝わりましたでしょうか。

農作物の例でも、実体経済の安定のためにはある意味必要な取引手法だということを強調しておきたいですし、

世界で起きている経済事象を理解する上では知っておきたい事です。